1月から簡単になったコンビニ納付。源泉所得税は、原則納付できないので注意を!

これまでもコンビニで税金を納付することはできたのですが、税務署に「バーコード付納付書」を取りに行く必要があり、利便性は???でした。(税務署に行くのなら、そもそもコンビニではなく、税務署で納付すればよい話ですし。) 

 

それが、1月から自宅や会社で「QRコード付納付書」を作成し、それを使ってコンビニで納付することができるようになりました。わざわざ税務署に行かなくて済む、ということです。

 

「これは便利!」

たしかにそうですが、実は利用できる税目に制限があり、源泉所得税もその一つです。

源泉所得税は告知分のみ対象

国税庁が公表している「コンビニ納付(QRコード)のQ&A」で、利用できる税目について触れられています。

 

Q1-1 コンビニ納付(QRコード)が可能な税目を教えてください。また、附帯税(加算税、延滞税等)もコンビニ納付(QRコード)は可能ですか。
(答) 次の税目の納付が可能です。
 また、本税に加えて、附帯税(加算税、延滞税等)の納付も可能です(附帯税のみの納付も可能です。)。

申告所得税及び復興特別所得税
消費税及び地方消費税
法人税(連結納税を含む)
地方法人税(連結納税を含む)
相続税
贈与税
源泉所得税及び復興特別所得税(告知分のみ

~中略~


1 「告知分」とは、国税通則法第36条の規定により、税務署長が行う納税の告知を指します。

 

一見すると、源泉所得税も大丈夫のように思えますが、肝となるのはカッコ書きの中身「告知分のみ」というワードです。

告知分の定義は※印のとおりですが、実際に、国税通則法第36条を読んでみましょう。

 

(納税の告知)
第三十六条 税務署長は、国税に関する法律の規定により次に掲げる国税(その滞納処分費を除く。以下次条において同じ。)を徴収しようとするときは、納税の告知をしなければならない。
一 賦課課税方式による国税(過少申告加算税、無申告加算税及び前条第三項に規定する重加算税を除く。)
二 源泉徴収による国税でその法定納期限までに納付されなかつたもの
三 自動車重量税でその法定納期限までに納付されなかつたもの
四 登録免許税でその法定納期限までに納付されなかつたもの
2 前項の規定による納税の告知は、税務署長が、政令で定めるところにより、納付すべき税額、納期限及び納付場所を記載した納税告知書を送達して行う。ただし、担保として提供された金銭をもつて消費税等を納付させる場合その他政令で定める場合には、納税告知書の送達に代え、当該職員に口頭で当該告知をさせることができる。

 

「これからは源泉を毎月コンビニで納められる。わざわざ銀行に行かなくて済むんだ。やった~」
そういう思いは、見事に木端微塵です。。。

源泉所得税を期限までに納税しなかった事業者が、税務署から納税額などが記載された納税告知書が届いた場合には、その納税額分をコンビニで納付することができる

ということで、すべての源泉所得税をコンビニで納付できるわけではありません。

期限までに納付したい場合には、これまでどおりのやり方で進めるしかないのです。

 

間違って納付してしまった場合の対処

実は、この記事を書くきっかけとなった出来事があります。

かねてからコンビニ納付に興味を持たれていたお客様が、告知分の内容を知らずに、源泉所得税を納付してしまったのです。

 

こちらが払込金受領証です。
たしかに「・・・(告知分)」とありますね。
※社名が特定される情報を隠すことを条件に、お客様には掲載のご承諾をいただいています。

税務署に連絡をしました。

税務署からすると、突然内容のわからない支払があったわけなので、「一体何なんだ?」ということとなります。ですから、とにかく税務署に連絡をして、状況を説明する必要があります。

 

このお客様については、私が代理で税務署に経緯を説明しました。

話のわかる(?)担当者で、すぐに状況を理解してくれまして、

担当者:「返金しますので、もう一度銀行などで払ってください。」

との返答でした。

 

そこで、私は淡い期待を込めて、お願いをしてみました。

私:「コンビニで納付したものを充当してもらえませんか?」

しかし、

担当者:「できません!」

と、あっさり拒否。

 

事前の下調べで、源泉所得税を納付するときには納付書を使わないといけないことが所得税法でばっちり決められており、駄目だろうとは思っていたのですが、、、

 

(源泉徴収に係る所得税の納付手続)
第二百二十条 第一章から前章まで(源泉徴収)の規定により所得税を徴収して納付する者は、その納付の際、国税通則法第三十四条第一項(納付の手続)に規定する納付書に財務省令で定める計算書を添附しなければならない。

(納付の手続)
第三十四条 国税を納付しようとする者は、その税額に相当する金銭に納付書(納税告知書の送達を受けた場合には、納税告知書)を添えて、これを日本銀行(国税の収納を行う代理店を含む。)又はその国税の収納を行う税務署の職員に納付しなければならない。以下、省略

 

今回のまとめ

一番ニーズがあるのは源泉所得税のような気がするので、コンビニ納付はどこまで普及するのかなと思います。

ただ、法人税や所得税、消費税は納付できるので、

・納税期限が迫っている

・電子納税ができる環境ではない

・近くに銀行がない

という場合には、使ってみる価値はあるかもしれませんね。

 

追記)

コンビニ納付(QRコード)について、詳しいことをお知りになりたい方は、国税庁のホームページでご確認ください。

 

ジル観察日記

何やら作業をしている妻をじ~っと見つめる後ろ姿をパシャリ