月末が休日の場合の申告・納税期限を法的根拠から見てみましょう。

今年のゴールデンウィークは、最長で4月27日から5月6日までの10日間です。

2月決算の法人は、通常であれば4月30日が申告・納税期限となりますが、今年の場合、連休が関わってくるため、いつになるのか?

なんとなく(5月7日かな)と思いつつも、私のお客様でも該当する法人様がいらっしゃるので、法的根拠による裏付けがほしくなり調べてみました。

申告・納税期限の原則

冒頭で「2月決算の法人は、通常であれば4月30日が申告・納税期限となります」と書きましたが、その法的根拠からまずは確認します。

決算日が月末の場合

法人税法第74条と第77条で、事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内が申告・納付期限と規定されています。

また、国税通則法第10条第1号第2号で、期間が月で決まっているときは暦計算で期間の計算を行うことが規定されています。

法人税法

(確定申告)
第七十四条 内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。

(確定申告による納付)
第七十七条 第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書を提出した内国法人は・・・(中略)・・・当該申告書の提出期限までに、当該金額に相当する法人税を国に納付しなければならない。

国税通則法

(期間の計算及び期限の特例)
第十条 国税に関する法律において日、月又は年をもつて定める期間の計算は、次に定めるところによる。
一 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるとき、又は国税に関する法律に別段の定めがあるときは、この限りでない。
二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。

つまり、

・事業年度終了の日=2月28日
・事業年度終了の日の翌日=3月1日

となり、3月1日から暦計算で2ヶ月とは、3月、4月を指しますので、

・事業年度終了の日の翌日から2月以内=4月30日(申告・納付期限)

となります。

2月決算を例にとって説明をしましたが、他の月でも考え方は同じです。月末が決算日の法人様は、以上のような根拠で、決算日の翌々月末が申告・納付期限になります。

決算日が月の途中の場合

たまにですが、月の途中を決算日とされている法人様がいらっしゃいます。

たとえば、請求関係の締めが毎月20日なので、それに合わせて決算日を2月20日にするというような感じです。

この場合、

・事業年度終了の日=2月20日
・事業年度終了の日の翌日=2月21日

ここまではよいかと思いますが、先ほど見た国税通則法第10条第1項第2号の暦計算の考え方を用いると、

・2月21日から暦計算で2ヶ月=3月、4月
・事業年度終了の日の翌日から2月以内=4月30日

となってしまいますが、これで正しいのでしょうか?

答えは『否』で、暦計算を行いません。

国税通則法第10条第1項第3号で、期間の初日が月初でない場合には、期間を経過する月で期間の初日に応当する日の前日が申告・納付期限となることが規定されています。

国税通則法

(期間の計算及び期限の特例)
第十条
~中略~
三 前号の場合において、月又は年の始めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。
ただし、最後の月にその応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

「応当」という聞き慣れないワードが出てきて一瞬戸惑ってしまいますが、「対応」と読み替えていただくとわかりやすく、たとえば、4月「2日」に応当する日とは各月の「2日」となります。

したがって、先ほどの例の場合、

・事業年度終了の日の翌日(期間の初日)=2月21日

でしたから、

・期間を経過する月の応当日=4月21日
・応当日の前日=4月20日(申告・納付期限)

となります。

申告・納税期限の日が休日の場合

申告・納付期限の原則はおわかりいただけかと思います。

では、今回の記事の本題、その期限の日が休日であった場合にはどのようになるのでしょうか?

法律に則した休日

国税通則法第10条第2項に、次のような規定があります。

国税通則法

(期間の計算及び期限の特例)
第十条
~中略~
2 国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出、通知、納付又は徴収に関する期限(時をもつて定める期限その他の政令で定める期限を除く。)が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他一般の休日又は政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日をもつてその期限とみなす。

そして、この規定のなかで出てくるワード、「一般の休日」については国税通則法基本通達(徴収部関係)第3節第10条関係で、「政令で定める日」については国税通則法施行令第2条第2項で、それぞれ次のように規定されています。

国税通則法基本通達(徴収部関係)

(一般の休日)

4 この条第2項の「一般の休日」とは、日曜日、国民の祝日以外の全国的な休日をいうものとする。
なお、官庁における年末の休暇(明治6年太政官布告第2号「休暇日ノ件」に定める12月29日から同月31日までをいう。)は、この条の「一般の休日」には該当しないが、年始の休暇(同布告に定める1月2日および3日をいう。)は、この条の「一般の休日」に該当する(昭和43.1.30最高判、昭和33.6.2最高判)

国税通則法施行令

第二条 法第十条第二項(期限の特例)に規定する政令で定める期限は、次に掲げる期限とする。
~中略~
2 法第十条第二項に規定する政令で定める日は、土曜日又は十二月二十九日、同月三十日若しくは同月三十一日とする。

つまり、申告・納付期限が

・土曜日

・日曜日

・祝日

・12月29日から12月31日

・1月2日および1月3日

にあたる場合には、その翌日(翌日が休日なら、翌々日。以後同じ。)が期限となります。

今年のゴールデンウィークは・・・

以下のような日の並びとなっていることから、5月7日が申告・納付期限でなることに間違いはありません。

4月29日 昭和の日(祝日)
4月30日 祝日法第3条第3項による休日
5月1日 天皇即位の日(祝日)
5月2日 祝日法第3条第3項による休日
5月3日 憲法記念日(祝日)
5月4日 みどりの日(祝日)
5月5日 こどもの日(祝日)
5月6日 祝日法第3条第2項による休日
5月7日 平日 ★申告・納付期限★

国民の祝日に関する法律(祝日法)
第三条 「国民の祝日」は、休日とする。
2 「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
3 その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。

今年の年末は・・・

今年の年末もゴールデンウィーク並みの長期連休となりますが、10月決算の法人様は、2020年(令和元年)1月6日が申告・納付期限となります。

12月31日 休日
1月1日 休日
1月2日 休日
1月3日 休日
1月4日 土曜日
1月5日 日曜日
1月6日 平日 ★申告・納付期限★

独自の休日

来年以降、4月30日は平日だけど、ゴールデンウィークの合間なので独自に休日にするといった対応をされる法人様もいるかもしれません。

残念ですが、法的根拠に即した休日ではないので、原則通り、4月30日が申告・納税期限となります。

類似する事例として、1月4日(平日)を独自に休日にした法人が1月5日に提出した申告書は期限後申告に該当すると判断された裁決があります。ご興味ある方は、是非ご一読ください。

◆参考事例:国税不服審判所 平13.11.29裁決、裁決事例集No.62 16頁

今回のまとめ

2月決算の法人様はすっきりされたのではないでしょうか?

申告期限が少し延びたことで、余裕が持てますね。

・・・いや、ゴールデンウィーク明けは、金融機関はかなりの混雑が予想されますし、そもそも連休明けの本業対応で、税務業務は二の次になりかねません。

ですので、郵送提出・納付書納付をされる法人様は、連休に入られる前に申告・納税を完了されることをおすすめします。(私も完了できるようにがんばります。)

ジル観察日記

目が真ん丸なジルは、貴重なショットです。

「かわいいですねえ(*≧з≦)」