【住宅ローン控除】残債以上の額に借り換えたとき、年末残高の調整計算が入ります。

安い金利を求めて住宅ローンの借り換えを行うのは必然の行動です。

そのとき、残っているローンの残高(残債)以上の借り換えをされることもあるのではないでしょうか。

「残債以上に借り換えることなんてあるの?」

と思われるかもしれませんが、借り換えに係る保証料や手数料、印紙代などもひっくるめてローンを組むという方法もあるため、残債以上に借り換えるなんてことは普通にあり得るのです。

ただ、住宅ローン控除の計算では、ローンの年末残高に調整計算が入る可能性があるので注意が必要です。

借り換えを行ったときの住宅ローン控除

住宅ローン控除は、住宅を購入、増改築等をするために必要な借入金が対象で、ローンを借り換えるための借入金は、原則対象にはなっていません。

ただし、

新ローンが旧ローンを消滅させるためのものであることが明らかである。
新ローンが住宅ローン控除の適用を受けることができる借入金(返済期間が10年以上など)の要件を満たしている。

この2つの要件を両方とも満たしている場合には、新ローンについて住宅ローン控除を適用することが認められています。(正確にいうと、旧ローンの住宅ローン控除を新ローンに引き継ぐことができる、と言えます。)

しかし、、、です。

上のケースを見てみましょう。

・X0年から旧ローン2000万円に対して住宅ローン控除を適用開始

・X5年まで返済が進みローン残高は1700万円まで減少

・その直後に3000万円の借り換えを実行

・X6年の返済を行った結果、ローン残高はX5年の1700万円から2900万円へと1200万円増加

このときの住宅ローン控除に関して、X5年は1700万円が対象となる残高でしたが、×6年は2900万円となるのでしょうか?

答えは、です。

新ローン3000万円は、旧ローンを消滅させる部分が1700万円で、残り1300万円は新ローンに借り換えるためにかかったものです。

先ほどお話しした住宅ローン控除を引き継ぐための要件で、『新ローンが旧ローンを消滅させるためのものであることが明らかである。』というのがありました。

これに当てはめると、新ローン残高のうち1700万円に対応する部分だけが住宅ローン控除の対象となる金額と考えます。

したがって、上の図では、2900万円ではなく1643万円を対象として計算するのが正解となります。

借り換えの事実をどうやって掴むか

このローン残高を調整する計算を行うために欲しい情報は、次の3つです。

旧ローンの借り換え直前の残高はいくら?
新ローンの総額はいくら?
新ローンの年末残高はいくら?

このうち、②と③は新ローンの残高証明書を提出してもらえればわかりますので、別途取得しなければならないのは①です。返済予定表で確認してもらったり、金融機関に尋ねてもらいましょう。

ただ、そもそもの問題として、借り換えの事実をどうやって掴むかが重要です。

手っ取り早いのは、

・借り換えを行った人には自己申告してもらう

という方法なのですが、肝心のご本人が申告を忘れてしまっていたらどうしましょう。。。

安心してください!

2つの書類を見れば、(もしかして借り換えをしているのでは?)と推測することができるのです。

たとえば、こちらのケース。

住宅借入金等特別控除証明書では、居住開始年月日が「平成23年8月7日」となっています。

しかし、住宅ローンの年末残高等証明書を見ると、、、

当初金額の欄に「平成28年3月31日」と記載されています。

平成23年8月居住開始なのに、住宅ローンの当初=借入日は平成28年3月。

「ふ~ん、住み始めてから5年後にローンを組んだんだ。」

なんて思わないですよね?

これは明らかに不自然で、(平成28年3月に借り換えを行ったのでは)と推測できますから、この段階でご本人に

・借り換えを行っていないか?

・借り換えを行っていたとしてら、先ほどの①

を確認するでもよいのです。

雑記

先ほどの①②③を入手しましたら、以下の計算フォームに当てはめて、調整後のローン残高を計算してみてください。

なお、旧ローンの借り換え直前の残高よりも少ない金額で借り換えを行った場合には、調整計算はなく、新ローンの年末残高がそのまま対象となります。

ジル観察日記

ジルが枕にしているものは湯たんぽです。

妻のために買ったのに、いつの間にか彼のものに。。。