現金残高が合わないときの対処方法

毎日コツコツと現金出納帳に現金の出入りを記帳していても、月末や決算を迎えたときに、現金出納帳の残高と手持ちの実際残高が合わないということが起きたりします。

そのときの対処方法についてお話しします。

実際残高に合わせなければならない

たとえば、

・現金出納帳(または、会計ソフトの現金勘定)の残高が35,000円

・実際残高が29,000円

という場合、試算表や決算書には29,000円が計上されるべきなので、差額6,000円が発生した原因を突き止める必要があります。

原因1:現金出納帳が間違っていた

差額発生の原因としてよくあるのが記録・入力ミスです。

・会計ソフトへ入力した数字が間違っていた

・現金出納帳の残高を出すときに誤って電卓を叩いた(会計ソフトを使っていたら起こり得ませんが。)

など。

記録・入力は人の手作業なので、間違いが起きてしまってもやむをえません。ただ、その間違いに気づいたらすぐに記録・入力の修正を行いましょう。

原因2:領収書が漏れていた

原因1に類似するものではありますが、領収書からの記録・入力が漏れていたということも頻出の原因です。

先ほどの例をとると、事務用品費6,000円分の領収書があったのだが、現金出納帳への記録が漏れていたということです。

当然残高が合うはずはないので、すぐに記録しましょう。

原因3:わからない

ここまでお話した原因1、原因2で、現金残高が合わない”異常”は是正されるはずですが、何度調べてみても原因がわからないということもあります。また、調べればわかるかもしれないが、今は調べる時間をとれないということもあるでしょう。

そんなときはどうしましょうか?

私は、現金残高を実際残高に合わせておくことを重視しているため、次のような仕訳を起こしておくことをお薦めします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金過不足 6,000 現金 6,000

日商簿記を学ばれた方ならご存知かもしれませんが、現金過不足を使うということです。

お使いの会計ソフトで科目が設定されていなければ、ご自身で新規登録を行わないといけませんが、表示する箇所はその他流動資産、その他流動負債などどこでも大丈夫です。

なぜなら、現金過不足はあくまで仮の勘定で、確定申告や決算では、必ず現金過不足をゼロにしなければならないからです。

仕訳を起こさないで、とりあえずそのままにしておき、決算や確定申告のときに洗い直すということも一つの方法です。ただ、現金過不足が残っていると「必ずゼロにしなければならない」という備忘効果が働きますので、仕訳を起こすことは有用ではないかと思います。

現金過不足をゼロにする

確定申告や決算のとき、あるいは、ある日突然現金過不足の原因が分かったら、それに合わせて是正すればよいです。

たとえば、領収書が漏れていたということであれば、次のような仕訳を起こします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
事務用品費 6,000 現金過不足 6,000

しかし、どうしても差額がわからなかった場合には、次のような仕訳を起こします。先ほどもお話しましたが、現金過不足は必ずゼロにしなければならないので、雑損失(または雑収入)を使って強制的にゼロにします。

【実際残高の方が少ない場合】

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
雑損失 6,000 現金過不足 6,000
(対象外仕入)

【実際残高の方が多い場合】

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金過不足 6,000 雑収入 6,000
(対象外売上)

雑損失が必要経費・損金として認められるのか

会計上は今お話した方法でよいのですが、税務上は雑損失をそのまま必要経費や損金として認められるのかという問題があります。

差額の調査報告書(いつ・どのように調査を行って、どうして原因を判明できなかったのかをまとめた報告書)を作成して、雑損失を計上せざるをえなかった経緯を説明できるようにしておきましょう。

また、税務当局は、事業主や役員が個人的に使ったことを疑ってくるはずです。

もしそのように認定されてしまえば、必要経費や損金とはできませんし、役員であれば給与扱いとなるため源泉課税もれのダメージも受けてしまうこととなります。

したがって、事業主や役員が個人的に使ったものではないことは確実に主張できるようにしておかなければなりません。

なお、雑損失を事業主貸に振り替えたり、別表四上で雑損失否認(加算・流出)として、最初から必要経費・損金としないという方法もあります。ただ、この方法でも、法人の場合には役員の個人的費消と認定されてしまうと、源泉課税もれとなることには注意を払ってください。

雑収入はそのまま計上しておけばよいのか

雑収入の発生原因が売上の計上漏れであった場合には厄介です。

すでに消費税の課税事業者である場合には課税売上の計上漏れとなりますし、免税事業者であったとしても、再来年・再来期の課税事業者判定に影響を及ぼすこととなります。

したがって、売上の計上漏れではないことを説明できるようにしておかなければなりません。

現金過不足が起きないための工夫

現金出納帳をつけない=現金を持たない、これが最善の方法です。

要は経費精算方式にするということです。

小口現金の経費が発生した場合には、まずは個人のポケットマネーで立替払としておき、半月なり1ヶ月なりで締めて、一括で立替精算を振込で行うという方法です。

これならば、事業者としての現金が存在しないので、そもそも現金過不足という事態は生じません。

雑記

現金が合わないなんてあるの?と思われるかもしれませんが、結構あります。

合わせる作業に四苦八苦されているお客様を見ていると、経費精算方式にしてほしいな~と思ったりもしますが、現金を持つことに慣れてしまった方はなかなか切替えに賛同していただけず。。。

キャッシュレスが叫ばれる昨今ですが、現場は思うように導入が進んでいない現状でしょうか(悩)

ジル観察日記

以前にジルの兄妹(女の子)をご紹介しました。

妻の実家に住むもう一匹の兄妹(男の子)をご紹介します。毛色は違いますが、顔つき、体型、モフモフっぷりはそっくりですね。