Tカード、Pontaカード、dカード、楽天ポイントカード・・・世の中いろいろなポイントカードがありますね。
私は、ポイントカードに関してはまったくのど素人ですが、貯まったポイントを使って商品を買うことができるということくらいは知っています。
今回は、そのような貯まったポイントを使って商品を購入したとき、どのような仕訳を起こすべきかを考えてみます。
●●カード繋がりでのお話●●
ディズニーランドでアトラクション待ちしているときに、入口でカードを渡されました。アトラクションに乗る際にスタッフに渡してください、ということだったのですが、どうやらこのカードを借り受けした人を通じて待ち時間を計測しているみたいです。「もしかしたら何か記念品くれるかも!」と期待感が膨れ上がったのですが、「ありがとうございました」という感謝の言葉で終了・・・。
目次
誰のポイントカードを使っていますか?
ポイントカードの名義は、事業者(法人)でしょうか、それとも、個人(役員、従業員)でしょうか。仕訳が変わってきますので、この点は必ず確認をしましょう。
法人名義のカードのポイントを使ったとき
たとえば、税込10,800円の商品を2,000円分のポイントを使って購入したとします。
このときの仕訳は次のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 10,800 | 現金預金 | 8,800 |
雑収入 | 2,000 |
2,000円部分は、お店に支払を免除してもらったという考え方で「雑収入」を計上していますが、値引きをしてもらったという考え方で、次のような仕訳も考えられます。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 8,800※ | 現金預金 | 8,800 |
※10,800-2,000(値引き)=8,800
実際のお金の支払いにリンクするので、この仕訳は非常にわかりやすいです。ただし、次のような問題点が考えられます。
総額主義の原則にそぐわない。
企業会計原則は、すべての企業が会計を処理するに当たって従わなければならない基準で、そのなかの第二 損益計算書原則一・Bにおいて、次のような規定(「総額主義の原則」)があります。
費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない。
企業会計原則自体には法的な強制力はありませんので、従わなかったからといって罰を受けるものではありません。
しかし、会社法第431条では、
株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。
とあります。
企業会計原則は、『企業会計の実務の中に慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められたところを要約したもの』(企業会計原則・同注解二1)として設定をされています。
会社法には、直接的に「企業会計原則に従え!」とは書いてありませんが、拠り所にすべき企業会計の慣行が何かとなると、設定の趣旨からすると企業会計原則ではないでしょうか。
となると、そのなかで規定される総額主義の原則にそぐわない仕訳を起こすことは、会社法の規定に反してしまうとも考えられます。
『重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法によることも・・・認められる』とされています。
決算書を閲覧する人たちを誤解させてしまうほどの多額な金額だと流石によろしくないですが、そこまでの影響がない程度の金額であれば、相殺したとしても問題はないのでは・・・。
個人名義のカードのポイントを使ったとき
先程の前提条件で仕訳を起こすと、次のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 10,800 | 現金預金 | 8,800 |
短期借入金 | 2,000 |
2,000円部分は、個人に立替えてもらったという考え方になります。したがって、事業者は、立替えてくれた個人に対して精算をしてあげないといけません。
なお、個人事業主が自分のカードのポイントを使ったときは、短期借入金ではなく「事業主借」という科目を使用してください。
今回のまとめ
今回のテーマは、お客様からお預りしたレシートを見て、「あれ?どうするんだっけ?」とふと思ったことから、取り上げてみました。
ふだんは当たり前のように起こしている仕訳ですが、調べていると意外に奥が深くて、財務諸表論(税理士試験の受験科目)をもう一度勉強し直した方がいいかもと思ったりしました。
ジル観察日記
いただきものをクンクン。
「バターのいい香りがするにゃ」