配偶者が仕事を手伝ってくれているのであれば、給料を支払うことに問題はありません。
ただ、その支払金額は税務調査のときに争いとなることが多いです。
特に月8万円にしていると、かなりの確率で目をつけられると思います。
奥様はどんな仕事をしているのですか?
税務調査官は、配偶者に給料が支払われている事実を確認すると、まずはこの質問をします。
「週〇日、×時から××時まで勤務して、~~~という仕事をしています。」
と答えるのが常套文句ですが、勤務回数が少なかったり仕事内容が軽かったりすると、間髪入れずに「8万円は高くないですか?」と指摘されます。
ここで具体的に仕事の内容や支払金額の決め方を説明し、税務調査官が納得すればそれで終わりです。
しかし、その説明があやふやだと争いが混沌としていきます。
お互いに自己の主張の正当性を訴えますが、納税者は適正な金額と思っているのに対し、税務調査官は高いと思っているので、話が平行線をたどるのは当然です。
最終的には「5万円が妥当なので、3万円×12=36万円は損金とは認められません。」というように税務調査官が認定してきます。
その認定に応じるかどうかは納税者次第です。
応じるのであれば修正申告をして終了ですが、応じなければ、落としどころの金額を探るか、あるいは、一切譲らずに税務署に更正決定してもらって国税不服審判所に持ち込むかといった具合です。
そもそもなぜ8万円なのでしょうか?
配偶者に税金がかからず、かつ、配偶者控除の対象とすることができるからです。
給料の税金計算は、額面金額から給与所得控除や所得控除を差し引いた金額に税率を乗じて計算します。その給与所得控除と所得控除には、それぞれ最低保証額があります。
・給与所得控除 55万円
・所得控除(基礎控除) 所得税48万円/住民税43万円
したがって、住民税まで税金がかからないようにするためには、55万円+43万円=98万円/年以下にしておけばよい、ということになるのです。
8万円の場合、12を掛けると96万円。。。そうです。見事に98万円以下に抑えられるのです。
一方、配偶者控除を受けるためには、配偶者の所得金額が48万円以下でなければなりません。
所得金額は額面金額から給与所得控除を差し引いた金額ですが、8万円の場合には96万円-55万円=41万円となり、この要件を充足し、配偶者控除を受けられます。
つまり、税金がかからず、かつ、配偶者控除を受けられる上限ギリギリの金額が8万円と言うことができるのです。
税務署も当然知っているから目をつけてくる
しかし、税務当局もこんなことは百も承知です。だから、追求してくるのです。
「こんな少ない金額、見逃してくれるのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、税務調査では給料は必ず見られる項目です。
なので、見逃される可能性はゼロと思ってください。
上限ギリギリまで支払いたいという気持ちはわかりますが、配偶者の仕事内容で世間一般的に支払われる給料(たとえば、求人情報はひとつの参考になります。)と比べてみて8万円は高いと思われるのであれば、金額を下げることも念頭に置くべきかもしれません。